2021年6月18日、B1リーグの島根スサノオマジックがリード・トラビス選手との契約継続を発表しました。
【契約(継続)のお知らせ】#リード・トラビス 選手との選手契約が基本合意(継続)に達しましたので、お知らせいたします。
— 島根スサノオマジック (@susanoo_m) June 16, 2021
トラビス選手のコメントはこちら▶https://t.co/QmLpNOxjUj#島根スサノオマジック pic.twitter.com/Eg3FOG3jr0
スタンフォードのスター選手として活躍
ミネソタ州のミネアポリスで生まれ育ったトラビス。高校時代からバスケ選手として活躍して高校オールアメリカンに選ばれています。一緒にオールアメリカンに選ばれていたのは、Karl-Anthony Towns、Jahlil Okafor、D'Angelo Russell、Devin Booker、Kelly Paul Oubreなど錚々たる顔ぶれ。
彼らとともに全米でも有数の有望株として注目されていたトラビスのもとには30ものNCAA一部校から奨学金オファーが舞い込みます。デュークとゴンザガという全米レベルの強豪校、ミネソタとノートルダムという地元の名門校を訪問したあと、最終的にスタンフォードでプレーすることを決断しました。スタンフォードは学業面でも優秀じゃないとオファーをもらえない学校。トラビスはハーバードからも奨学金オファーを受けていたようなので学業面も相当優秀だったと思われます。
スタンフォードの2学年上にはこれまた島根でプレーしたロスコ・アレンがいました。彼らは2年間に渡って同じコート上でプレーしています。
そのスタンフォードで1年目から主力としてプレーしたトラビス。2年目を怪我で棒に振ったものの、3年目と4年目に2年連続でオールカンファレンスに選ばれるほどの活躍を見せます。
怪我で棒に振った2年目がレッドシャツと認められたためもう1年大学でプレーする権利のあったトラビスでしたが、2018年のNBAドラフトにエントリーすることを発表します。
ただ、エージェントとは契約しませんでした。エージェントと契約してしまうとその時点でプロ入りと見做されて大学には戻れなくなるんですが、契約しないでドラフトにエントリーした場合は期限までにエントリーを撤回して大学に戻ることができるんです。指名される可能性が0に近いと知ったトラビスはもう1年カレッジレベルでプレーすることに。
ケンタッキー大学でさらに1年経験を積む
もう1年大学でプレーすることを決めたトラビスでしたが、スタンフォードには戻らずケンタッキー大学にトランスファーします。
引き抜きの横行を防ぐため転校すると1年間プレーできないルールがあるのですが、学位を取って卒業した場合はgraduate transferと呼ばれすぐにプレーすることが可能になります。トラビスはスタンフォードで学位を取得していたため、次のシーズンすぐにプレーすることが可能でした。
スタンフォードはバスケでは全米レベルの強豪というわけではない学校。一方、ケンタッキーは毎年チャンピオン候補にあがる強豪です。NBA入りの夢を叶えるためにより高いレベルで揉まれることを選んだのでしょう。
大学を卒業していたためケンタッキーでは院に所属したトラビス。そんなハイレベルなケンタッキーでプレーして1試合あたり11.2得点という成績を残しています。ただ、スタンフォード4年目では平均19.5得点をあげていたのと比べると数字は落としています。
この年のケンタッキーには後にNBAドラフト1巡目で指名される下級生が3人もいて、彼らを活かしつつチームのバランスを取る役目を上級生であるトラビスが果たしていたようでスタッツとしてはパッとしないものになってしまったようです。
この記事を読むと、それはそれで良い経験だったのかもしれませんが。
👉Reid Travis’ father comments on his son’s NBA Draft stock
カレッジバスケ屈指の名将であるCalipariから選手としての成長に加えリーダーシップを称賛されたりもしていますしね。
👉Reid Travis signs NBA Summer League deal with Atlanta Hawks
2019年のNCAAトーナメントでチームをベスト8まで導いてもいるし、充実した1年だったと言えるかもしれません。八村塁率いるゴンザガが同じくベスト8で涙を飲んだあのNCAAトーナメントです。面白い大会でした。
そんなケンタッキー時代のハイライト動画があったので貼っておきます。
NBA入りを逃すもドイツでプロデビュー
ケンタッキーで1年プレーした後、2019年のNBAドラフトにエントリーしたトラビスでしたが、残念ながらここでも指名を逃してしまいました。膝の怪我が原因でドラフト前にどこのチームのワークアウトにも参加できなかった不運もあったようです。怪我から完全に回復する前に大学の試合に出てしまったダメージもあったみたい。
ドラフト前の評価を見ると、パワーを活かしたブロックやリバウンド、得点力を高く評価される一方、NBAでパワーフォワードとしてプレーするにはサイズも身体能力も不足していて、かといってスモールフォワードでプレーするにはスキルが足りないという評価だったようです。
高校時代にオールアメリカンに選ばれていたほどの選手であることを考えると、大学で伸び悩んだという評価にもなってしまうのかもしれません。ただ、バスケで強豪とは言えないスタンフォードをあえて選ぶなどバスケ以外のこともしっかりと考えて歩んできているように見えます。
同じタイプの選手としては琉球にいるジャック・クーリーがあげられています。そのクーリーが1年目からリバウンド王を獲る活躍を見せたことを考えるとBリーグ向きの人材なのかも。
アトランタホークスの一員としてサマーリーグでプレーしたあと、ドイツのMedi Bayreuthというチームと契約してプロ入りしています。このチーム名はなんて読むんでしょうね。ドイツ一部のチームではあるようですが、人口7万人の小さな街のチームで、アリーナのキャパも4000人だったみたい。Bリーグに来ても違和感はないかもしれませんね。ちなみにケンタッキー大学のアリーナのキャパは23,000人です。大学がこの規模のアリーナ持っているアメリカはとんでもない。
どうやら大学時代の膝の怪我を引きずっていたようで、回復しながらプレーもできる環境を求めてのドイツ入りだったようです。怪我さえなければNBAでプレーするだけの力はあったと言う人も。
👉Why Germany for Kentucky’s Reid Travis? A year to ‘get recovered.’
ドイツで1試合あたり20分プレーして10得点、5.3リバウンドという成績を残しています。ドイツのことは全然わからないので評価しようもないのですが、プロ入り1年目からこの成績なら十分と言えるんじゃないでしょうか。
ドイツでのプレーぶりが分かる動画があったので貼っておきます。パワーを活かしたプレーだけでなくミドルも上手いし、良い選手に見えますね。
クーリーになぞらえられるほどのパワーを持ち、NBAでストレッチ4としてプレーできると評されるほどの得点力があり、リーダーシップや人間性に対する評価も抜群。24歳という年齢を考えると伸び代も大きそうで、日本で成功する匂いのする外国籍選手だと思います。
1年目から主力として活躍。島根での2シーズン目に挑む
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スタンフォードと島根の先輩にあたるロスコ・アレンについても紹介しています。
👉新潟アルビレックスBBのロスコ・アレン B2屈指のスコアラーが遂にB1の舞台に
チームメイトのペリン・ビュフォードについても。